幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
トントン、と扉を叩く音が聞こえた。


「…何でもない!」

沖田の声だ。



あの日。

全てを変えた、小学五年生の、あの日。



それは16歳になった今でも、小野寺を縛り続けた。




「……入るよー」ガラリ。

突然、沖田が小野寺の部屋に足を踏み入れた。



「っな!!勝手に入るな!」


「まぁいいじゃん、いいじゃん♪」


「良くない!」



すると、ひょい、と。

沖田は小野寺の顔を覗き込んだ。



「………おのでらん、泣いてた?」


「…………え?」


だって、と言葉を付け足す。




「涙の跡、残ってる」


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