幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
涙の、跡………?


「怖い夢でも、見た?」

そう言って、微笑む沖田。



「……いや。少し、昔のことを思い出しただけだ」

「…そっか」



沖田は、ゆっくりと小野寺に近付いた。




「……ねえ、おのでらん」


「ん?」


「例えばの話なんだけど…」




少し視線を下げる。



「おのでらん、このまえ自分の傷を自分で癒やしたじゃん?」

「…ああ…?」

小野寺は不思議そうな表情を浮かべた。



「治癒術のことか?」

「例えば、例えばだよ?」



沖田が、視線を上げた。

その視線は、真っ直ぐ小野寺を捉える。

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