幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
震えるその小さな身体を、ぎゅっと抱き締めた。



初めてだった。

小野寺姫が誰かに頼るのは、初めてだった。


「小野寺……!」


正直、頼ってくれて嬉しいと思ってしまった。




小さかった。
小野寺の身体は、小さかった。

この小さな身体は、今まで全てのことを、ものを背負い込んで来た。



痛みも、憎しみも、


誰かのいのちも。





「頼ってくれてありがとうな、姫」


そっと小さな頭を撫でた。



彼女は、過去のある出来事に関しての話をするときのみ、自らを「私」と言う。



「僕」の小野寺と、
「私」の小野寺。



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