幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
「もう、頑張らなくていいんだよ」


十分頑張っているじゃないか。

平和な世界にいた女の子が、たった一人でこの動乱の時代に落ちたわけだ。

不安じゃないわけがない。
怖くないわけがない。




「姫………っ」



小野寺は、「僕」という言葉で自分を守る。

「僕」という剣をつくるのだ。

その剣は、脆く、脆く、崩れやすい。


いわゆる諸刃の剣だ。





「………ひじかた」


彼女は、か細い声でつぶやいた。


細くとも、凛とした声。





彼女は、ゆっくりと土方から離れた。



風が吹いた。




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