幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
「頑張らなくていい」


その言葉が、彼女の中で何かを壊した。




―――――
―――




『姫は頑張り屋さんだね』

昔、誰かに言われた。


『え?だって姫、ちゃんとした陰陽道になって、パパとお兄様とにいにのお手伝いするんだもん!』

『にいにより姫のほうが頑張ってるよ』



この声は……………




『あんまり頑張りすぎなくていいのよ、姫』






おかあさんの、こえだ。




――――――
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嗚呼、綺麗だ。




絹のような美しい黒髪が揺れる。

雪のように白い肌。

全てを飲み込んでしまいそうな大きな紫色の瞳。

高い鼻に、生まれたばかりの赤ん坊のような健康的な唇。



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