幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
耳元で囁くと、小野寺は顔を真っ赤にした。


「や、やめろ。なんかそれ、恥ずかしい……」

そう言って顔を背ける。



「…ふっ」

「なっ!笑うな!」



真っ赤になって反抗する姿までもが、可愛い。愛らしい。



「好きだ、姫」

「~~~~~~~~」



小野寺はぎっと土方を睨みつけたが、やがて首をひねりぼそりと呟いた。






「………………私も」








小野寺は今、「私」と言った。


「僕」

それは彼女の両刃の剣。


自らを守る、偽りの鎧。





「やっと俺を頼ってくれたんだな、小野寺」


土方は、笑った。


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