幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
「なんで、」

「少しは…楽になった?」



怒ろうと思ったのに、そんな優しい顔をされたら怒れないじゃないか。


沖田はふぅ、とため息をつく小野寺の頭を撫でた。



陰陽道は、無限の魔法ではない。

あくまで有限であり、ある一定の許容量を越える術を発動すると、それは術士本人の寿命を消費することに繋がる。



だからこそ、生物を生き返らせることはできない。

「等価交換」なのだ。




「…ありがとう」

「礼は言わなくていい。お前、勝手なことして怒ってるだろ?」



小野寺は汗を拭い、笑った。



「バレた?」


心配されたくない。
同情されたくない。



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