幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
冷たい、声が響いた。

沖田だ。



「……ああ、そうだ」

土方は表情を変えない。



「お前は山南さんと仲が良かったからな」

「そんな…!」


小野寺は思わず土方を見た。



「お前…、なんでそんなひどいことが……!」


「女のお前は黙ってろ!」




目くじらを上げる。


あぁ、まずいことを言った。

反射的に小野寺は思った。



これは、男たちの問題だ。




「脱走は新撰組において最大の禁忌です」

沖田はそっと刀の鞘を触った。



「その掟は山南さんだからと言って破ることは許されない」


「沖田………」




僕は、近藤さんに従う。





そう言って沖田は、ゆっくりと立ち上がった。




< 414 / 693 >

この作品をシェア

pagetop