幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
そして、はにかむ。



「正直、何が正しいとかよく分からないけど、そういう道もあるんだなって思ったよ」

永倉は二人を見つめた。



「だから、殺さない。生き延びろ。んで、役目を果たせ、平助」





あぁ。

そうか細くつぶやき、藤堂は笑った。







死ぬことは、怖い。
それには先がない。
真っ暗で、何も見えない。

悲しくて、つらくて、苦しくて、寂しくて、


―――そして、一番楽な選択だ。






全ての責任を放棄できる。
自分はこれ以上悲しまなくていい。
つらくならなくていい。
苦しくならなくていい。
寂しくならなくていい。





それは、逃げの行為だ。




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