幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
「君と出会ってから、僕たちが見る世界も変わったんだよ」


沖田は、今まで見たことがないくらい優しい笑顔を見せた。



「ありがとう、姫」









その笑顔は優しくて、儚かった。
儚くて、つらそうだった。




「………どういたしまして」





沖田に久々に呼ばれた下の名前。
悪い気はしなかった。





「……私、そろそろ帰るね」

「え?もう?」



すると突然、小野寺が立ち上がった。


「どうかした?」
首を傾げる沖田。

「……用事を思い出したんだ」






―――嘘。
ただたんに、泣きそうだったから。
涙を見られたくないから。




「ごめんね」

「いや、いいよ。気にしないで」




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