幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
「おき、」

「何かを捨てる勇気がない者は、何も変えられない。僕はそう思う」




沖田は、ゆっくりと小野寺を抱きしめた。






「おき……「愛していたよ」



沖田は、最初からこういう奴だった。

飄々とした態度も、軽い口振りも、最初から何も変わらない。




なのに誰よりも考えていて、それを実行出来るだけの能力があって。

そして小野寺をいつでも気に掛けてくれた。






「おき………たぁ…」

「やっと、言えた」





そう言う表情は、今までで一番儚くて、今までで一番苦しそうだった。








「おき、やだよ…。やだ、やだよぉ…!」

「行って、姫」




その様子を、土方は黙って見つめている。




「僕らが今まで造り上げたものを無駄にしないで。必ず、必ず、








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