幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
―――――
――



「はあ、はあ……」



その頃。
屋敷のまえで、沖田総司はただ一人刀を振るっていた。






「はぁ、はぁ、…っく…そ」





「あいつ…化け物か?」

新政府軍の青年が思わず呟く。





「あんな何発も弾丸を身体に受けて、まだ立っているなんて…」









沖田総司は、立ち続けていた。




身体に受けている銃弾は十を遥かに越える。







(…絶対に、一人も通してはいけない)


この中で、愛する女の子と信頼している上司が戦っているのだ。





―――なのに。


(視界が、霞む………)







もう、ここまでか。

沖田はゆっくりとまぶたを閉じる。





ごめん。
おのでらん、土方さん。



もう、無理みた――…






















「久しぶり、沖田」






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