幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
己の意志の強さと、守りたいものの有無。



「…てめえ、全部が全部他人のせいなんだな」

……人の、せい?



「自分が苦しかったのは母親のせい。自分がこの時代に来たのも母親のせい。この時代に自分を送った奴が命令したからそれに従っているだけで、この時代で誰かを殺すのは長州の人間が命令したから。自分が可愛いから、他の奴らを巻き込んでも仕方がない。そういう風に聞こえるんだが?」

「ちが……!」


青蓮院は、思わず刀を振るおうとした。
しかし、その動きがピタリと止まる。








――嗚呼、否定できない。






「そんな奴に、俺たちは止められねえよ」



守りたいものがあるから、人は戦う。

守りたいものがあるから、人は強くなる。



「己の欲望のみで動く奴に殺される気は毛頭ない」






カチャリ、
土方の刀が光を反射する。



「お前は、何を望むんだ。他人に何と言われたいんだ」




突き刺さる、質問。


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