幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
なら、俺は何故生きている?

散々死のうとして、でも死ねなくて。
やっと見つけた自分の生きる世界から離れる方法。


この時代にやってきて、言われるがままに人を殺して、殺して、殺して。



死ねないから、逃げた。
逃げて、殺した。

嗚呼、なんて情けない人生なのだろう。



そこにある自分の意志なんて、「自分が苦しみたくない」なんていう陳腐で軽薄なものだけなのだから。






「殺せよ」呟く。

「殺せよ。殺してくれよ…」



やだ。
こんな惨めな気持ち。



「土方、俺を殺してくれ。頼むから……」

「断る」






         え?








「なん、」

「来たみたいだ」




霞む視界に写る美しい黒髪。


「俺は、お前を憎んでいるんだ」
土方は、青蓮院を見下ろす。


「『死』なんてお前が望むモンはやらねえ。お前は、苦しむべきだ」




生きて、苦しむべきだ。




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