幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
土方は、この時の青蓮院にとって一番残酷な選択を突きつけた。
一番苦しい選択を突きつけた。


「まぁ、それもあいつ次第だがな」


影が大きくなる。
己の意志を持った目が、近付いてくる。



「お前はどう思う?…姫」

女は、小さく微笑んだ。



――――――
―――



「青蓮院」

小野寺姫は、一歩、また一歩と青蓮院に近付いていく。



「私は、君が嫌いだ」

「………そ、う」



今にも息絶えそうな苦しみに満ちた青蓮院の表情と、小野寺は向き合う。


「嫌いだ。大嫌いだ。芹沢を殺したことでも、たくさんの仲間を殺したことでも、私は君を許さない」




ピタリ。
小野寺は青蓮院のすぐ隣で動きを止めた。「でも、」




(で……も………?)





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