幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
光が二人を包み込む。



「生きてよ、青蓮院」

「…………やだよ」

「そんなこと、言わないで」



ぎゅっと、
手を握る力が強まる。





「私は、君が生きていて良かった」

「……やめろよ」

「君が、私を変えたんだ」

「………………っ」





こんな言葉、俺を未来へ追いやるための適当な理由付けでしかない。

適当に並べた、文字の羅列のはずだ。




なのに、なんでだよ。

なんで、なんで、






「…………ううっ…ひっ…くそ……っ」











なんでこんなに、嬉しいんだよ。


「必ず、生きて」

コツン、と小野寺は青蓮院のおでこに自らのおでこを当てた。



「でも、」

でもこの緑石を使うと、姫はもう――…



「いいんだ」
彼女は、笑う。







「未来で、待ってて」
















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青蓮院が次に目を開いたとき、そこは150年後の世界だった。








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