WHITEMOON~あやかしの神様~
「智成様…花奏と千早をお願いします…俺は白鬼を探し…花奏の気を取り戻します!!」



俺は智成様に頼み込み、右手の小瓶を奪い、霧の中に駆け込んだ。



「知弥!!?」


俺の呼ぶ智成様の声は完全無視。



俺は視界を遮る白い霧を陰鬱に思いながら、白鬼を探す。



「おい!!出て来い…白鬼…俺は紅鬼…緋月だ!!」



白鬼は俺を待っているはずーーーー・・・




強い風が霧を一掃した。



枯れた大樹が目の前に現れる。



白い紙吹雪が舞う。



俺の手の平に落ちた紙吹雪は冷たく儚く消えていく。


紙吹雪は正真正銘の雪だった。






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