WHITEMOON~あやかしの神様~
* * *

3日ぶりに帰宅。

「お帰りなさい…芳樹さん」


速水さんはおかしいから、私は恥ずかしいけど、名前を呼び、さん付けした。


「ただいま」


切れ長のガーネットのような瞳が私を愛しげに見つめていた。


自然の流れで、そのまま速水さんの腕の中に引き込まれる。


「あの…」


「記憶がないから、俺が旦那様とは思えないか?亜希緒」


「あ、まぁ…」


速水さんの胸板は知弥よりも厚く、広い。


声も知弥よりも低く、鼓膜にいつまでも心地いい響きを残す。

二人を比べるのはイケナイと思いながらもついつい、比べてしまった。

< 37 / 202 >

この作品をシェア

pagetop