WHITEMOON~あやかしの神様~
「亜希緒の口から、そんな言葉が出るとは意外だな」



「・・・」


「お前は心の優しい女だ。妖にまで、優しさを見せるとは」


速水さんの手が私の肩に掛かり、引き寄せられる。
そして、速水さんの方を見たとたん、唇にキスを落とされた。



知弥には悪いけど。速水さんの力には抗えず、唇を貪られる。


銘柄は違うけど、煙草の味は同じ。


口内を速水さんの舌が蹂躙する。


全てを奪い尽くされる勢いで、そのままソファーの押し倒された。



「お前の初めても俺は強引に奪った…ワザと嫌われるために…それでも、お前は俺を愛してくれて、俺の望んだ平凡だけど幸福な家庭を築いてくれた。でも、それは俺は神であり、天狗であるが故に平凡にはならなかった」


「!!?」



リビングの強化ガラスに大きな音が。その音は何度も響き、ガラスには蜘蛛巣が張るように亀裂は入り、粉々に砕け、床に破片を散らばせた。
黒い翼を持った男が侵入してきた。

右手には大きな鉄扇。

「お前は!?」


千早さん!?








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