WHITEMOON~あやかしの神様~
「俺もそうだけど、真夜中にレディの部屋に侵入するとは…」


レーアまで現れた…


「朱雀お前か…」



二人は互いに敬遠し合っていた。


「貴様の慕う…冥府神はもういない。今の芳樹様は最後の天狗…迦楼羅様だ!!」



「天狗だろうが、芳樹様は芳樹様だ!汚い手を使い…天狗の力を覚醒させて、一体、お前は何がしたい!!」


千早さんは奇妙な含み笑いを浮かべる。



私の知る心の優しい千早さんはいない。目の前の千早さんは知弥さんを裏切り、御身を犠牲して天狗族を復活させ、芳樹さんと同じ父親である大天狗の復讐を遂げようとしていた。


復讐の矛先は全ての人間。


母は人なのに。彼は父である大天狗の遺言を守り通していた。



彼は人である母に『化物』と言われ、捨てられた身。


人の世界に恩などない。



私の『三種の神器』の一つ…普段は浄化の役目を果たす…『映せ鏡』がそう語った。『映せ鏡』は妖の心も映し、私に伝えた。



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