今日彼に振られた。
あなたが飼っていた猫の名前を忘れた。

そう気づいたとき泣きそうだった。


ひとつひとつ、掌からこぼれ落ちていく、
大切なあなたの記憶。

だって、きっと。


あなたは猫の名前なら覚えているだろうけど、
その猫の話を何度もして、
私をたくさん笑わせてくれたことは、きっと忘れているでしょう。

私をとても幸せにしてくれた猫だったのに。


< 20 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop