幸福感
「今日はこの間の続き。各自やってくださーい」
美術の時間は、ある人は友達と雑談する時間だし、ある人は普段言えないような感情を色やカタチで表現する時間。
先生の開始の合図でいろんなことが一度に動きはじめるのが面白くて、美術の時間は大好きだ。
すると隣の優ちゃんが、
「紗恵ちゃん早いね~。あたし全然進んでないんだけどどうしよ」
と声をかけてきた。
優ちゃんの画用紙は、ほとんど真っ白なままだった。
今やってるのは、簡単な自画像と自分の好きなものをひたすら描くというもの。
わたしには好きなものが沢山ある、ありすぎる程なので簡単だった。
「好きなもの描けばいいだけなんだけどね、難しいな~」
「優ちゃんだったらさ、音楽とか好きじゃん?あと派手な色のリュックしょってるでしょ、あといつもヘッドホンしてるからヘッドホン描いたり、」
鉛筆で簡単に描いて見せると、優ちゃんは、
「こんな感じねー!良い!ちょっと集中してみる、ありがとー!」
と言って、ガツガツと描き始めた。
なんで今日こんなに優しい気持ちなのかというと、やはりハルに会えるからですね。
そうじゃなかったら今頃眠ってる。夢見てるよきっと。美術好きとはいえ睡魔には勝てない。