幸せになろう
「えー?」3人は驚いた。
「でもこれは強要ではありませんので、もし迷惑でしたらこのまま帰ります。
あくまでも、慎一さん達の合意の元にやるようにエレガンス幹部から言われています」
なんと、エレガンス幹部の驚くべきサプライズであった。
慎一が、人間界の決まりについてうるさく言ったのが逆手に取られたか?
慎一より、エレガンス幹部の方が2枚も3枚も上手だ。
「私は賛成よ」
「私もいいと思います」
さやかとエレーナは、あっさりと受け入れた。
さやかは、態度を決めかねている慎一に、決断を迫った。
「慎一、貴方はどうするの?」
「どうって言われても……」
慎一は少し考えてから返事をした。
「受け入れてもいいけど、間違った思い込みで勝手な行動をしないこと、
これが君を受け入れるための条件だ」
「分かりました。勝手な行動はしません」
「よかったですね。ルーシーさん」
エレーナはルーシーを手放しで歓迎する。
だが、慎一は心配だ。ルーシーは以前、病院で暴走した。
いずれにしても、とんでもない爆弾娘を抱えることになった。
こうして、ルーシーと共同生活をしながら、彼女の実地研修は始まった。

 ちょうどその頃、持田夏穂宅にジェシーが始めて訪れた。
「お前が持田夏穂か?私の名はジェシー・クリスタル、天上界の契約管理官だ」
「え?」

 昼頃、夏穂が慎一の家にかけ込んで来た。彼女は、そのまま慎一に泣きついた。
「どうしたの?」
慎一達は驚いた。
「天上界からジェシー・クリスタルっていう人が来てね、天使達をみんな連れて帰ってしまったの」
「えっ、ジェシーが?」
夏穂の話によると、ジェシーは突然やってきて、天使3人の契約を強引に解除させ、天上界へ連れ帰ったという。
「お兄ちゃん、ジェシーさんを知っているの?」
「俺も以前、契約を取り消されかけたことがあった」
それにしてもおかしい。なぜ、ジェシーはこんな事をするのか?
夏穂に不適切な契約はない。
「それで、ジェシーは何て?」
夏穂はジェシーに言われた言葉を思い出した。。
「お前は不幸じゃないだろう? だから天使は必要ないって」
「確かにジェシーがそう言ったのか?」
「うん」
慎一と夏穂の会話を聞いている、エレーナとさやかの様子がおかしい。
落ち込んだり、ひどく動揺している様だ。
「せっかく友達たくさん出来たのに。みんな取り上げられちゃった」

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