幸せになろう
慎一が説得を試みるものの、イザべラ幹部は、首を縦に振らなかった。
「姉さん達も、何か言ってやってよ」
慎一とイザべラ幹部のやり取りを、最初からずっと聴いている、エレーナとさやか。
ふたりは、厳しい状況をよく分かっているせいか、一言も反論しない。
それどころか、むしろ、かなり辛そうだ。
慎一は最後にこう言った。
「じゃあ、大切な人と引き裂かれるのは不幸じゃないのか?」
「それは……」
エレガンス幹部は、言葉に詰まった。
「私達の力不足は認めます。本当に申し訳ないと思います。
でも、他に方法がないのです」
イザべラ幹部は苦渋の表情を隠しきれない。慎一はそれ以上何も言えなかった。
天上界としても難しい判断だったことを思いうかがわせた。
あと、半年……
ルーシーの成長が早ければ、数ヶ月後には、エレーナもさやかもいなくなる。
「姉さん達は、もしかしてこの事を最初から知っていたんじゃないのか?」
「ごめん、慎一」
「慎一さん、御免なさい」
ふたりとも、ただ謝るばかりだ。
「どうしてこんな大事な事を、もっと早く言わなかったんだ」
「私達、隠すつもりはなかったの。ただ、どうしても言えなかったの」
「何度も言おうと思いました。でも慎一さんが悲しむと思うと、
どうしても言えなかったんです。本当に御免なさい。
私、慎一さんとずっと一緒にいたかったんです」
慎一はそれ以上ふたりを問い詰めなかった。お互い、別れが辛いのは同じだから。
そんな時だった。夏穂が慎一に助けを求めてきたのは……
「お兄ちゃん、私と一緒に学校に来て」
夏穂は、息を切らしていた。
「どうしたの? 学校を抜け出してきて」
「今は休み時間だから大丈夫。それより、学校でいじめが起きていて」
「また、いじめられたのか?」
「私じゃなくて友達が。私、とても見ていられなくて……」
このまま見過ごす訳にはいかないと思った慎一。
「今から、君の学校に行こう。ルーシーも一緒に来て」
慎一達は、夏穂の中学に向かった。
学校では、校舎の周辺がやけに騒がしい。開いた窓からは大声も聴こえる。
3人で校舎内を見て回った。
いじめ、または、それらしき行為が何件か見受けられた。
いじめの標的となっているのは、おとなしい目立たない生徒達だ。
多数の生徒達が少数の人達をいじめているのも目撃した。
そして、自己保身のためにいじめに追従する生徒達。見て見ぬふりをする生徒達。
「姉さん達も、何か言ってやってよ」
慎一とイザべラ幹部のやり取りを、最初からずっと聴いている、エレーナとさやか。
ふたりは、厳しい状況をよく分かっているせいか、一言も反論しない。
それどころか、むしろ、かなり辛そうだ。
慎一は最後にこう言った。
「じゃあ、大切な人と引き裂かれるのは不幸じゃないのか?」
「それは……」
エレガンス幹部は、言葉に詰まった。
「私達の力不足は認めます。本当に申し訳ないと思います。
でも、他に方法がないのです」
イザべラ幹部は苦渋の表情を隠しきれない。慎一はそれ以上何も言えなかった。
天上界としても難しい判断だったことを思いうかがわせた。
あと、半年……
ルーシーの成長が早ければ、数ヶ月後には、エレーナもさやかもいなくなる。
「姉さん達は、もしかしてこの事を最初から知っていたんじゃないのか?」
「ごめん、慎一」
「慎一さん、御免なさい」
ふたりとも、ただ謝るばかりだ。
「どうしてこんな大事な事を、もっと早く言わなかったんだ」
「私達、隠すつもりはなかったの。ただ、どうしても言えなかったの」
「何度も言おうと思いました。でも慎一さんが悲しむと思うと、
どうしても言えなかったんです。本当に御免なさい。
私、慎一さんとずっと一緒にいたかったんです」
慎一はそれ以上ふたりを問い詰めなかった。お互い、別れが辛いのは同じだから。
そんな時だった。夏穂が慎一に助けを求めてきたのは……
「お兄ちゃん、私と一緒に学校に来て」
夏穂は、息を切らしていた。
「どうしたの? 学校を抜け出してきて」
「今は休み時間だから大丈夫。それより、学校でいじめが起きていて」
「また、いじめられたのか?」
「私じゃなくて友達が。私、とても見ていられなくて……」
このまま見過ごす訳にはいかないと思った慎一。
「今から、君の学校に行こう。ルーシーも一緒に来て」
慎一達は、夏穂の中学に向かった。
学校では、校舎の周辺がやけに騒がしい。開いた窓からは大声も聴こえる。
3人で校舎内を見て回った。
いじめ、または、それらしき行為が何件か見受けられた。
いじめの標的となっているのは、おとなしい目立たない生徒達だ。
多数の生徒達が少数の人達をいじめているのも目撃した。
そして、自己保身のためにいじめに追従する生徒達。見て見ぬふりをする生徒達。