幸せになろう
ルーシーは嬉しそうに知らせた。しかし夏穂は、
「ごめんなさい。私、やっぱりお兄ちゃんみたいには出来なかった。それで、
こういうふうに願ったの。
生徒達に、いじめもそれを見て見ぬふりすることも、悪い事だから絶対にやっちゃいけないって、分からせてあげてって願ったの。
そうしたら、急に学校の中が静かになって、いじめがまるでうそみたいになくなったの。
お兄ちゃんの言う通りに出来なくてごめんね」
「どうして謝るんだ。君はちゃんと出来たじゃないか。
ただいじめをなくしたいと願うのではなく、それが悪い事だと分からせることが大事。
君はよくやったよ。別に俺と全く同じやり方じゃなくてもいい。
大事な事が抜けていなければ、君のやり方でいいんだ」
慎一に褒められ、嬉しそうに微笑む夏穂。彼女はちょっぴり自信がついた。
「夏穂さん、学校の問題が解決してよかったですね」
エレーナもほっとした。
「あの、私、学校でずっと見ていたんですけど、いじめをしている人達の
中には、自分が被害者にならないために加害者になるケースが多々ありました。
それに、やめさせようとすれば、自分がやられるからという理由で見て見ぬふりをする人達もいました。
いじめの加害者と被害者が同じだったり、誰が加害者なのかよく分からない点もありました。
そういう人達を、全部一律に悪者と決めつけて、厳罰にしていいんでしょうか?
私は、そういうのは疑問に思いました」
ルーシーの話から、いじめの根深さがうかがえた。
「ルーシー、確かに君の言う通りかもしれない。
しかし、被害者以外は全員加害者という毅然とした態度で臨まないと、
この問題は解決しないと思うんだ」
かつて、いじめられた経験を持つ慎一は、厳しい姿勢を崩さない。
「でも……」
慎一とルーシーは、学校で同じ物を見てきた。でも、彼女はそういう見方をしていたのだ。
ルーシーは、数日前と明らかに違った。わずか数日でこんなに慎重に物事を
見極められるようになったのか。
「私もルーシーさんの考えは一理あると思います。ルーシーさんを数日でこんなに成長させるなんて、慎一さんはすごいです。
慎一さんは、彼女の研修も考えて夏穂さんに協力させたんですよね?」
エレーナは、慎一を褒めた。
「まあ、そうだけど……
ルーシー、ありがとう。これからもしばらく夏穂ちゃんのそばにいてやってくれないか」
「はい」
「ごめんなさい。私、やっぱりお兄ちゃんみたいには出来なかった。それで、
こういうふうに願ったの。
生徒達に、いじめもそれを見て見ぬふりすることも、悪い事だから絶対にやっちゃいけないって、分からせてあげてって願ったの。
そうしたら、急に学校の中が静かになって、いじめがまるでうそみたいになくなったの。
お兄ちゃんの言う通りに出来なくてごめんね」
「どうして謝るんだ。君はちゃんと出来たじゃないか。
ただいじめをなくしたいと願うのではなく、それが悪い事だと分からせることが大事。
君はよくやったよ。別に俺と全く同じやり方じゃなくてもいい。
大事な事が抜けていなければ、君のやり方でいいんだ」
慎一に褒められ、嬉しそうに微笑む夏穂。彼女はちょっぴり自信がついた。
「夏穂さん、学校の問題が解決してよかったですね」
エレーナもほっとした。
「あの、私、学校でずっと見ていたんですけど、いじめをしている人達の
中には、自分が被害者にならないために加害者になるケースが多々ありました。
それに、やめさせようとすれば、自分がやられるからという理由で見て見ぬふりをする人達もいました。
いじめの加害者と被害者が同じだったり、誰が加害者なのかよく分からない点もありました。
そういう人達を、全部一律に悪者と決めつけて、厳罰にしていいんでしょうか?
私は、そういうのは疑問に思いました」
ルーシーの話から、いじめの根深さがうかがえた。
「ルーシー、確かに君の言う通りかもしれない。
しかし、被害者以外は全員加害者という毅然とした態度で臨まないと、
この問題は解決しないと思うんだ」
かつて、いじめられた経験を持つ慎一は、厳しい姿勢を崩さない。
「でも……」
慎一とルーシーは、学校で同じ物を見てきた。でも、彼女はそういう見方をしていたのだ。
ルーシーは、数日前と明らかに違った。わずか数日でこんなに慎重に物事を
見極められるようになったのか。
「私もルーシーさんの考えは一理あると思います。ルーシーさんを数日でこんなに成長させるなんて、慎一さんはすごいです。
慎一さんは、彼女の研修も考えて夏穂さんに協力させたんですよね?」
エレーナは、慎一を褒めた。
「まあ、そうだけど……
ルーシー、ありがとう。これからもしばらく夏穂ちゃんのそばにいてやってくれないか」
「はい」