幸せになろう
第21話 残された時間
夜、エレーナが夕飯の後片づけをしている。
「エレーナ、俺も手伝うよ」
「これは、私がやりますから、慎一さんはゆっくりしていて下さい」
「俺は、君と一緒に過ごせる、残された時間を大切にしたいんだ。
だから、一緒にやろうよ」
「慎一さん……はい!」
エレーナは、慎一の顔を見つめ、そして嬉しそうに返事をした。
ふたりで談笑しながら後片づけをした。
ところが、
「あ痛っ、」
「どうしたのエレーナ?」
エレーナの指先から血が出ている。
「お皿の欠けたところで指を切ったのか?」
「うん」
「今、手当てするから」
「どうしたの?」さやかが様子を見に来た。
「エレーナがお皿の欠けたところで、指を怪我したんだ」
「じゃあ、私が手当てするね」
さやかがエレーナの手当をしようとする。
「いや、俺にやらせてくれないか」
慎一は、エレーナの傷の手当をした。どうしても自分でやりたかったのだ。
「危ない食器がないかきちんと確認しておくべきだった。もっと俺がしっかりしていれば。
エレーナ、本当にごめん。
ところで、人間の薬って天使にも効くのかな?」
「それは、分からないです」
エレーナにも薬の効果は分からなかった。
「あれ? このお皿……」
さやかは、欠けた皿に見覚えがあった。
皿の傷は、以前エレーナがつけたものである事をさやかは知っていた。
「そのお皿は、だいぶ前に私が欠けさせたんです。
本当は私が悪いのに、慎一さんは私の怪我を自分のせいだと思い込んでいるんです。
でも、慎一さんのその優しさが嬉しくて、本当の事を言えませんでした。
私は、そんな慎一さんとずっと一緒ににいたいんです」
「エレーナ……」
さやかは、辛そうなエレーナに何も声を掛けられなかった。
一方、ルーシーの成長が著しい。
夏穂と仮契約してから、彼女はどんどん成長している。
夏穂を守るために毎日学校に付いて行っている。
姿を消して授業を受けたり、学校の図書館で読書している。だから成長するのだろう。
世間知らずの天使には、人間の学校はある意味良い研修の場なのかもしれない。
しかし、中学程度の勉強は、ルーシーには簡単すぎた。
彼女は自分で本を取り寄せたり、ネットで調べて独学するようになった。
このままじゃ一人前になるのに、半年どころか数ヶ月かからないかもしれない。
そんなに急いで成長しなくてもいいのに。
「エレーナ、俺も手伝うよ」
「これは、私がやりますから、慎一さんはゆっくりしていて下さい」
「俺は、君と一緒に過ごせる、残された時間を大切にしたいんだ。
だから、一緒にやろうよ」
「慎一さん……はい!」
エレーナは、慎一の顔を見つめ、そして嬉しそうに返事をした。
ふたりで談笑しながら後片づけをした。
ところが、
「あ痛っ、」
「どうしたのエレーナ?」
エレーナの指先から血が出ている。
「お皿の欠けたところで指を切ったのか?」
「うん」
「今、手当てするから」
「どうしたの?」さやかが様子を見に来た。
「エレーナがお皿の欠けたところで、指を怪我したんだ」
「じゃあ、私が手当てするね」
さやかがエレーナの手当をしようとする。
「いや、俺にやらせてくれないか」
慎一は、エレーナの傷の手当をした。どうしても自分でやりたかったのだ。
「危ない食器がないかきちんと確認しておくべきだった。もっと俺がしっかりしていれば。
エレーナ、本当にごめん。
ところで、人間の薬って天使にも効くのかな?」
「それは、分からないです」
エレーナにも薬の効果は分からなかった。
「あれ? このお皿……」
さやかは、欠けた皿に見覚えがあった。
皿の傷は、以前エレーナがつけたものである事をさやかは知っていた。
「そのお皿は、だいぶ前に私が欠けさせたんです。
本当は私が悪いのに、慎一さんは私の怪我を自分のせいだと思い込んでいるんです。
でも、慎一さんのその優しさが嬉しくて、本当の事を言えませんでした。
私は、そんな慎一さんとずっと一緒ににいたいんです」
「エレーナ……」
さやかは、辛そうなエレーナに何も声を掛けられなかった。
一方、ルーシーの成長が著しい。
夏穂と仮契約してから、彼女はどんどん成長している。
夏穂を守るために毎日学校に付いて行っている。
姿を消して授業を受けたり、学校の図書館で読書している。だから成長するのだろう。
世間知らずの天使には、人間の学校はある意味良い研修の場なのかもしれない。
しかし、中学程度の勉強は、ルーシーには簡単すぎた。
彼女は自分で本を取り寄せたり、ネットで調べて独学するようになった。
このままじゃ一人前になるのに、半年どころか数ヶ月かからないかもしれない。
そんなに急いで成長しなくてもいいのに。