幸せになろう
学校を研修に利用するとは、慎一も考えましたね」
エレガンス幹部は、慎一をねぎらった。
「いや、それはその……いろいろあって……」
「ルーシーから、慎一が入院したのでエレーナ達を帰すのを待って欲しいと
お願いされました。だから私は、少し待ちました」
「それって、ルーシーが頼んでくれたのか。俺はイザベラ幹部のとりはからいだと思っていた。
自分から頼んだなんてルーシーは一言も言っていなかったし」
慎一はルーシーの行動に感心する。
「ルーシー、本当に成長しましたね。天使には、相手の状況を察する、思いやりが大切なのです」
 エレガンス幹部は、ルーシーを褒めた。
ルーシーが気を利かせてくれなければ、慎一は熱で寝込んだまま、エレーナ達と別れる事になった
であろう。
「それにしても、天使が3人もついていながら病気になるとは、慎一は世話のやける奴だ」
ジェシーは呆れた。
「慎一は、天使がついていてもこれだけ不幸になるんですから、独りにしたら
どうなるか分かりません。
エレーナ、さやか、貴方達はこれからもずっと慎一を守ってあげて下さい」
エレガンス幹部は意外な指示をした。
「エレガンス幹部、私達は帰らなくていいんですか?」 
「ずっと慎一さんのそばにいていいんですか?」
エレーナ達は、エレガンス幹部に何度も聞き返した。
「慎一がこれ以上不幸にならないようにすることが貴方達の役目です。
幹部会もこの事を既に認めてくれています」
「ありがとうございます」
エレーナとさやかは、イザべラ幹部に礼を言った。
「これからはずっと慎一さんと一緒ですよ。私、本当に嬉しいです」
エレーナはすごく嬉しそうだ。
エレガンス幹部はさらに、こんな事を言った。
「それから、夏穂と綾香にも天使を返します。これからもずっと一緒にいることを
認めます。慎一が不幸になると、貴方の身近な人々に影響するかもしれません。
ですから、不幸が広がらないようにふたりにも天使を返します」
「それって、俺が不幸をまき散らしているってことか?」
慎一は、困ったような笑顔をする。
「お前は今までいろいろあっただろう?」
ジェシーに突っ込まれて反論の余地がない慎一。
エレーナとさやかが笑った。
「夏穂ちゃんと綾香ちゃんきっと喜ぶだろうな。
サラだって、大学と芸能活動を再開出来るし。エレガンス幹部、本当にありがとう」
慎一はエレガンス幹部に感謝した。


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