幸せになろう
「あの、私は帰らなければならないんですか?」
ルーシーは、研修が終わってから、まだ正規の契約相手が決まっていない。
「貴方は、人間界を自由に行き来することが許されています。
天上界に帰るのも、人間界にとどまるのも、貴方の自由です」
「じゃあ、私はもうしばらく慎一さんやエレーナさん達と一緒にいようと思います。
慎一さん、いけませんか?」
「慎一はどうする? 私達は構わないよね」
「はい」
さやかにエレーナも同意する。
「別にいいけど」
慎一はあまり乗り気じゃないが、拒む理由もないので同意した。
「エレーナ、さやか、大切な人を守れることはとても幸せなことです。
貴方達は恵まれていますね」
そう言って、エレガンス幹部は軽く微笑んだ。
「エレガンス幹部……」
エレーナは、イザべラ幹部のいみしんな言葉が少し気になった。
こうして慎一は、エレーナやさやかとこれからもずっと一緒にいられることになった。
「エレーナ、このピアス、このまま俺が持っていてもいいかな?
俺、エレーナとずっと一緒にいたいから。絶対に離れたくないから」
「これは、慎一さんに預けておきます。私達をつなぐ大切なものだから」
そう言うとエレーナは、ピアスを持った慎一の手のひらをゆっくりと閉じ、優しく握りしめた。

終わり

< 124 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop