幸せになろう
第4話 慎一の過去
「先生、お姉ちゃんを助けて。先生」
「残念だが私の力ではどうすることも……」
そう言って医師は表情を曇らせる。
「父さん、母さんのバカ! 父さん達が姉ちゃんを見殺しにしたんだ!」
慎一は、ガバッと飛び起きた。
「またあの忌まわしい夢か、それにしても最近よく見るな」
「ゲホ、ゲホ、」
「どうしたの?お姉ちゃん」
慎一が心配そうにする。
「大丈夫よ、ただの風邪だから」
突然、小学校の時の担任が慎一を教室に呼びに来た。
「お姉さんが倒れた。すぐ病院に行きなさい」
「お姉さんの病気は……」
医師が姉の病状を説明する。
「先生、お姉ちゃんを助けて……」
医師にすがりつく慎一。
「父さんも母さんもひどいよ」
そして両親への怒り……
慎一は、目がさめた。全身汗びっしょりだ。
「うなされていたようですね。悪い夢でも見たのですか?」
気がつくとエレーナが、心配そうに慎一の顔をのぞきこんでいる。
「ああ、ちょっとな」
それからも、慎一は悪夢にうなされ続けた。
何度も同じ夢を見るたび、それは少しずつより鮮明になっていった。
何で今更、あの忌まわしき過去に苦しめられ続けなければならないんだ?
もう、終わった事だ。慎一はとにかく忘れようとした。
ある晩の事だった。
慎一は再び悪夢にうなされた。
その日の夢は、いつもよりはるかに鮮明だった。
「父さん、母さんのバカ!」
慎一は自らの怒鳴り声で飛び起きた。
「何で、いまだにこんな夢、見続けなければならないんだ。もう過去の事だ!」
「慎一さん、落ち着いて下さい」
エレーナの声で、慎一は我に返った。
「あれ? エレーナ、どうしてここで寝ているんだ? 君の部屋は確か……」
慎一のベットの横に布団が敷いてある。
「勝手に入ってごめんなさい。慎一さんが、最近ずっとうなされ続けていたので、心配になって、そばにいました」
「そうだったのか」
「あの、どんな夢だったんですか? 宜しかったら、話を聴かせていただけませんか?」
エレーナは心配そうに慎一を見つめた。
慎一は、ゆっくりと話始めた。
あれまだ、俺が10歳の頃の話だ。
俺の両親は、大変自分勝手な人達だった。
父は、とにかく仕事に夢中で、母も自分のやりたい事ばっかりやっていて、ほとんど家に帰って来なかった。
だから俺は、少し年の離れた姉に育てられた。
両親は俺の世話を、全て姉に任せっきりにしていたんだ。
「残念だが私の力ではどうすることも……」
そう言って医師は表情を曇らせる。
「父さん、母さんのバカ! 父さん達が姉ちゃんを見殺しにしたんだ!」
慎一は、ガバッと飛び起きた。
「またあの忌まわしい夢か、それにしても最近よく見るな」
「ゲホ、ゲホ、」
「どうしたの?お姉ちゃん」
慎一が心配そうにする。
「大丈夫よ、ただの風邪だから」
突然、小学校の時の担任が慎一を教室に呼びに来た。
「お姉さんが倒れた。すぐ病院に行きなさい」
「お姉さんの病気は……」
医師が姉の病状を説明する。
「先生、お姉ちゃんを助けて……」
医師にすがりつく慎一。
「父さんも母さんもひどいよ」
そして両親への怒り……
慎一は、目がさめた。全身汗びっしょりだ。
「うなされていたようですね。悪い夢でも見たのですか?」
気がつくとエレーナが、心配そうに慎一の顔をのぞきこんでいる。
「ああ、ちょっとな」
それからも、慎一は悪夢にうなされ続けた。
何度も同じ夢を見るたび、それは少しずつより鮮明になっていった。
何で今更、あの忌まわしき過去に苦しめられ続けなければならないんだ?
もう、終わった事だ。慎一はとにかく忘れようとした。
ある晩の事だった。
慎一は再び悪夢にうなされた。
その日の夢は、いつもよりはるかに鮮明だった。
「父さん、母さんのバカ!」
慎一は自らの怒鳴り声で飛び起きた。
「何で、いまだにこんな夢、見続けなければならないんだ。もう過去の事だ!」
「慎一さん、落ち着いて下さい」
エレーナの声で、慎一は我に返った。
「あれ? エレーナ、どうしてここで寝ているんだ? 君の部屋は確か……」
慎一のベットの横に布団が敷いてある。
「勝手に入ってごめんなさい。慎一さんが、最近ずっとうなされ続けていたので、心配になって、そばにいました」
「そうだったのか」
「あの、どんな夢だったんですか? 宜しかったら、話を聴かせていただけませんか?」
エレーナは心配そうに慎一を見つめた。
慎一は、ゆっくりと話始めた。
あれまだ、俺が10歳の頃の話だ。
俺の両親は、大変自分勝手な人達だった。
父は、とにかく仕事に夢中で、母も自分のやりたい事ばっかりやっていて、ほとんど家に帰って来なかった。
だから俺は、少し年の離れた姉に育てられた。
両親は俺の世話を、全て姉に任せっきりにしていたんだ。