幸せになろう
「はい、いろいろとありがとうございました」
天使が始めて笑った。
それは、今までこわばった表情をしていた彼女が初めて見せた笑顔だった。
まさに天使の微笑みだった。
「ところで、まだ君の名前聞いていなかったね」
「エレーナ……エレーナ・フローレンス」
「そうか、エレーナか。あのさ、エレーナ、さっきから気になっていたんだけど、その羽しまえないの?」
「出来ますよ」
エレーナが羽をしまった。
「人前ではなるべく羽を見せないほうがいい。その方が安全だし、目立たない。
じゃあなエレーナ、気をつけて帰れよ」
そう言って慎一は、立ち去ろうとした。
その時、エレーナは慎一から深い悲しみのようなものを感じ取った。
これは!
エレーナは思わず、
「あの……待って下さい」
慎一はエレーナに呼び止められた。
「もし、宜しければこのまま私と契約を続けていただけませんか?」
突然エレーナから、契約継続の打診を受けた。
「しかし、あれは君を救うための一時的な契約で、既に終了したはずだ。
君もそれで納得していたじゃないか」
「貴方は正しい清らかな心を持っています。貴方と接していてそう思いました。
私達天使は、貴方のような方との契約を望ましいと考えています。
今までのような仮契約ではなく正規契約をしていただけませんか?」
「正規契約って?」
「正規契約とは、終身契約のようなものです。そうすれば、私は、決して離れることなく生涯貴方のそばにいられます。
そして、いろいろな形で貴方のお力になれると思います」
短期間の仮契約に対し正規契約。本契約または終身契約とも言う。
エレーナは、積極的に正規契約を勧める。
「終身契約ってそんなに軽いもんじゃないだろう。中途解約とか出来なさそうだし……突然そんな事言われても……」
戸惑う慎一。
「慎一さんは一人暮らしですよね? 家族とかいないんですか?」
「俺には家族はいない。親も、兄弟も」
慎一はエレーナから目をそらすようにぽつりと話す。
慎一から感じた、ただならぬ深い悲しみに、エレーナは慎一を独りにして帰れないと思った。
「一人ぼっちで寂しくないのですか?」
「子供の頃からずっと一人だし、それに慣れているから」
慎一はそっけない返事に終始。
「私、貴方の家族になることは出来ないけれど、でも、代わりになることは出来ると思います。
それではいけませんか?」
エレーナってやさしい娘なのかも……その時慎一は、そう思った。
天使が始めて笑った。
それは、今までこわばった表情をしていた彼女が初めて見せた笑顔だった。
まさに天使の微笑みだった。
「ところで、まだ君の名前聞いていなかったね」
「エレーナ……エレーナ・フローレンス」
「そうか、エレーナか。あのさ、エレーナ、さっきから気になっていたんだけど、その羽しまえないの?」
「出来ますよ」
エレーナが羽をしまった。
「人前ではなるべく羽を見せないほうがいい。その方が安全だし、目立たない。
じゃあなエレーナ、気をつけて帰れよ」
そう言って慎一は、立ち去ろうとした。
その時、エレーナは慎一から深い悲しみのようなものを感じ取った。
これは!
エレーナは思わず、
「あの……待って下さい」
慎一はエレーナに呼び止められた。
「もし、宜しければこのまま私と契約を続けていただけませんか?」
突然エレーナから、契約継続の打診を受けた。
「しかし、あれは君を救うための一時的な契約で、既に終了したはずだ。
君もそれで納得していたじゃないか」
「貴方は正しい清らかな心を持っています。貴方と接していてそう思いました。
私達天使は、貴方のような方との契約を望ましいと考えています。
今までのような仮契約ではなく正規契約をしていただけませんか?」
「正規契約って?」
「正規契約とは、終身契約のようなものです。そうすれば、私は、決して離れることなく生涯貴方のそばにいられます。
そして、いろいろな形で貴方のお力になれると思います」
短期間の仮契約に対し正規契約。本契約または終身契約とも言う。
エレーナは、積極的に正規契約を勧める。
「終身契約ってそんなに軽いもんじゃないだろう。中途解約とか出来なさそうだし……突然そんな事言われても……」
戸惑う慎一。
「慎一さんは一人暮らしですよね? 家族とかいないんですか?」
「俺には家族はいない。親も、兄弟も」
慎一はエレーナから目をそらすようにぽつりと話す。
慎一から感じた、ただならぬ深い悲しみに、エレーナは慎一を独りにして帰れないと思った。
「一人ぼっちで寂しくないのですか?」
「子供の頃からずっと一人だし、それに慣れているから」
慎一はそっけない返事に終始。
「私、貴方の家族になることは出来ないけれど、でも、代わりになることは出来ると思います。
それではいけませんか?」
エレーナってやさしい娘なのかも……その時慎一は、そう思った。