幸せになろう
第11話 姉の面影
「姉さん、俺はどうしたらいいんだ」
慎一は、姉、さやかの写真に話かけた。
「慎一さん……」
エレーナが、ドアの陰からひそかにその光景を見守っていた。
写真が気になった彼女は、慎一がいない時に、こっそりに部屋に入って
それを手に取った。そして、驚いた。
「こっ、この人は……!」
「ジェシーさん、この写真の人についてなんですけど」
エレーナはさやかの写真を天上界へ持ち込んだ。
「誰、この人?」
「慎一さんの姉、さやかさんです。
慎一さんが子供の頃、15歳で病死したそうです」
「で、この人がどうかしたのか?」
「私、2~3年前、天上界でこの人とそっくりな天使を見かけたような気がするんです。
該当する天使がいないか調べていただけませんか?」
なんと、エレーナはさやかに見覚えがあったのだ。
「それは構わんが、先にこの仕事を済ませる。少し待っていろ」
膨大な量の資料を前に、日夜業務に励むジェシー。契約管理官は多忙なのだ。
一方慎一は、エレーナと相変わらず口を利いていない。
エレーナが話しかけても全く口を利かなかった。
契約管理システムのコンピューターは、簡単に該当する天使を見つけ出した。
「おいエレーナ、お前が探していた天使が見つかったぞ。
だが、驚くべき事実も判明した」
思わぬ発見にやや興奮ぎみのジェシー。
「驚くべき事実って?」
「こいつは元人間だ。お前の言う通り、生前は宮原慎一の姉、さやかだった」
「なぜ、さやかさんが天使に?」
「エレーナ、お前も知っているだろう。天上界を支える巨大樹の事を。
全ては、あの巨大樹の意志だ」
「その天使に会うことは出来ませんか?」
「大勢いる天使の中でも、元人間天使は、極めて珍しい存在だ。
我々でも元人間天使に出会うことなどめったにない。
不可能ではないが、会ってどうする?」
「彼女なら、慎一さんを説得出来ると思うんです」
誰の言葉にも耳を貸さない慎一と、唯一会話が出来るのはさやかだけ。
彼女なら説得出来るかもしれない、エレーナはそう確信した。
「なるほど」
「あっ、でもやっぱり生前の記憶とかは残っていないですよね?
前世の記憶は失うって聞いたことがあります」
もし、さやかが慎一の事を覚えていなかったらと、エレーナは急に心配になった。
「人間が生き返る事などない。
ただ、天使として生まれ変わった場合は、前世の記憶は残るそうだ」
慎一は、姉、さやかの写真に話かけた。
「慎一さん……」
エレーナが、ドアの陰からひそかにその光景を見守っていた。
写真が気になった彼女は、慎一がいない時に、こっそりに部屋に入って
それを手に取った。そして、驚いた。
「こっ、この人は……!」
「ジェシーさん、この写真の人についてなんですけど」
エレーナはさやかの写真を天上界へ持ち込んだ。
「誰、この人?」
「慎一さんの姉、さやかさんです。
慎一さんが子供の頃、15歳で病死したそうです」
「で、この人がどうかしたのか?」
「私、2~3年前、天上界でこの人とそっくりな天使を見かけたような気がするんです。
該当する天使がいないか調べていただけませんか?」
なんと、エレーナはさやかに見覚えがあったのだ。
「それは構わんが、先にこの仕事を済ませる。少し待っていろ」
膨大な量の資料を前に、日夜業務に励むジェシー。契約管理官は多忙なのだ。
一方慎一は、エレーナと相変わらず口を利いていない。
エレーナが話しかけても全く口を利かなかった。
契約管理システムのコンピューターは、簡単に該当する天使を見つけ出した。
「おいエレーナ、お前が探していた天使が見つかったぞ。
だが、驚くべき事実も判明した」
思わぬ発見にやや興奮ぎみのジェシー。
「驚くべき事実って?」
「こいつは元人間だ。お前の言う通り、生前は宮原慎一の姉、さやかだった」
「なぜ、さやかさんが天使に?」
「エレーナ、お前も知っているだろう。天上界を支える巨大樹の事を。
全ては、あの巨大樹の意志だ」
「その天使に会うことは出来ませんか?」
「大勢いる天使の中でも、元人間天使は、極めて珍しい存在だ。
我々でも元人間天使に出会うことなどめったにない。
不可能ではないが、会ってどうする?」
「彼女なら、慎一さんを説得出来ると思うんです」
誰の言葉にも耳を貸さない慎一と、唯一会話が出来るのはさやかだけ。
彼女なら説得出来るかもしれない、エレーナはそう確信した。
「なるほど」
「あっ、でもやっぱり生前の記憶とかは残っていないですよね?
前世の記憶は失うって聞いたことがあります」
もし、さやかが慎一の事を覚えていなかったらと、エレーナは急に心配になった。
「人間が生き返る事などない。
ただ、天使として生まれ変わった場合は、前世の記憶は残るそうだ」