幸せになろう
君は、元人間だから、考え方がそうなのかもしれない。
それは仕方がないとしても、今は天使なんだから、もっと大きい、君にしか出来ないことがあるだろう?」
「じゃあ、どうすればいいの?」
「こうするんだ。エレーナ、俺の願いを叶えてくれ。
世界中の超大金持ち達が、巨額の資産を被災した人達に寄付してほしい」
慎一がエレーナに願うと、巨大な光の柱が発生した。
それは、いままでにない巨大な光だった。
「ちょっと、願いが大きすぎたかな」
「慎一さん、テレビをつけて下さい」
エレーナがテレビをつけるように即す。
テレビでは、海外の超大金持ちが記者会見で、巨額の資産を被災した人達に寄付すると発表していた。
他にも次々と、世界中の超大金持ち達が被災地に巨額の資産を寄付し始めた。
その金額は、被害総額に匹敵する額に達した。
それは、要領を得ないサラのために、慎一が実演して見せたのだ。
「すごい!」
「君にだって出来るよ。君には、綾香ちゃんがいるじゃないか。
綾香ちゃんと協力すれば、もっとでかいことだって出来るはずだ。
天使は人間を幸せにし、人間は天使に協力する。そのための契約だろ。
金銭的にはこれで解決した。
だが、人の命を取り戻すことは出来ない。大切な人との幸せはまでは取り戻せないんだ」
「そうね。人の幸せはお金では買えないものよね」
綾香が同感する。
「支援してくれる人達がいる、それだけでも被災地の人達の気持ちは救われると思います。自らお手本を見せるなんて慎一さんは、すごいです」
「世界中の大金持ちに寄付させるとは、慎一も考えたわね」
エレーナとさやかは慎一を褒めた。慎一はさらに話を続ける。
「サラ、誤解しないでほしい。俺は、君の芸能活動を否定した訳じゃない。
サラは、トップアイドルだし、綾香ちゃんとは、もっと協力出来るはず。
そういうのをもっとうまく活用すれば、俺なんかよりもっと多くの人々を
幸せに出来るんじゃないか。
俺は君にそういうのを分かってほしかったんだ」
「でも、慎一さんにはさやかさんもついている。
2人の天使と契約する慎一さんの方が、より多くの人々を幸福に出来るんじゃないかな」とサラ。
「そうかもしれないが、たくさんの人を幸せにするには、より多くの人間の協力が欠かせない。
そういう点では、サラは有名人だし、君が呼びかければ、多くの人達が応じてくれると思う」
慎一の言葉に納得しうなずくサラ。


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