幸せになろう
女子中学生達は、シュンとしたまま帰っていった。
「お兄ちゃん、あの人達は何で急にわめいて、おとなしくなったの?
それに、さっき、あの人達が変になる前に出た大きな光の柱って?」
夏穂は訳が分からない。
「天使の力だ。エレーナにお願いして、君をいじめた人達に幻覚を見せてやったんだ。自分達がいじめられる幻覚をな」
夏穂はエレーナの方に目をやった。そばに大きな白い羽を生やした不思議な女性が立っている。
「お兄ちゃん、この人って?」
「始めまして、天使のエレーナ・フローレンスです」
エレーナが会釈をした。
「エレーナは何でも願いを叶えてくれるんだ」
「天使? すごい、お兄ちゃんには天使がついているんだ。いいな、私も願い事叶えてほしいな。
でも、どうやってエレーナさんと知り合ったの?
私も、天使と知り合いになるにはどうすればいいの?」
「それは偶然……」
どう説明すればいいのか分からない慎一。
「慎一さんは、たまたま困っていた私を助けてくれたんです。
だから私は慎一さんを幸せにするって決めたんです」
「ふーん」
「ところで夏穂ちゃんはいじめられていたとき、嫌だってはっきり言ったの?」
慎一は、さっきからそのことが気になっていた。
「それは……」
そう言いかけて夏穂はうつむいた。
「やはりな。嫌だってちゃんと言わないと伝わらないよ。
自分の気持ちを分かってほしいなら、きちんと相手に意思表示しないとな。
もっと強い気持ちを持て。そうすればいじめられなくなる」
「うん、私頑張ってみる」
夏穂はうなずいた。
「お兄ちゃん、エレーナさんまたね」
帰って行く夏穂を慎一とエレーナは見送った。
「これで本当に解決したのかな?」
「え?」
「学校の先生達でも、いじめを解決出来ないんだ。なのに、俺なんかにいじめの解決など出来る訳ない。
俺、バカだから、こんなやり方しか出来ないんだ。これで本当に良かったのかな……」
慎一は自問自答するが答えは出ない。
「きっと大丈夫ですよ。あの娘たちはもういじめはしないと思います」
「世の中に不幸なんていくらでもある。自然災害や事故、その他いろいろ……
でも人間によってもたらされる不幸が一番多い気がするんだ。
人が他人を傷つけ、不幸にする。それが、人間の不幸の中で一番多いと思う。
俺はそれが一番許せないんだ。そういうのすごくいやなんだ」
「慎一さん……」
「お兄ちゃん、あの人達は何で急にわめいて、おとなしくなったの?
それに、さっき、あの人達が変になる前に出た大きな光の柱って?」
夏穂は訳が分からない。
「天使の力だ。エレーナにお願いして、君をいじめた人達に幻覚を見せてやったんだ。自分達がいじめられる幻覚をな」
夏穂はエレーナの方に目をやった。そばに大きな白い羽を生やした不思議な女性が立っている。
「お兄ちゃん、この人って?」
「始めまして、天使のエレーナ・フローレンスです」
エレーナが会釈をした。
「エレーナは何でも願いを叶えてくれるんだ」
「天使? すごい、お兄ちゃんには天使がついているんだ。いいな、私も願い事叶えてほしいな。
でも、どうやってエレーナさんと知り合ったの?
私も、天使と知り合いになるにはどうすればいいの?」
「それは偶然……」
どう説明すればいいのか分からない慎一。
「慎一さんは、たまたま困っていた私を助けてくれたんです。
だから私は慎一さんを幸せにするって決めたんです」
「ふーん」
「ところで夏穂ちゃんはいじめられていたとき、嫌だってはっきり言ったの?」
慎一は、さっきからそのことが気になっていた。
「それは……」
そう言いかけて夏穂はうつむいた。
「やはりな。嫌だってちゃんと言わないと伝わらないよ。
自分の気持ちを分かってほしいなら、きちんと相手に意思表示しないとな。
もっと強い気持ちを持て。そうすればいじめられなくなる」
「うん、私頑張ってみる」
夏穂はうなずいた。
「お兄ちゃん、エレーナさんまたね」
帰って行く夏穂を慎一とエレーナは見送った。
「これで本当に解決したのかな?」
「え?」
「学校の先生達でも、いじめを解決出来ないんだ。なのに、俺なんかにいじめの解決など出来る訳ない。
俺、バカだから、こんなやり方しか出来ないんだ。これで本当に良かったのかな……」
慎一は自問自答するが答えは出ない。
「きっと大丈夫ですよ。あの娘たちはもういじめはしないと思います」
「世の中に不幸なんていくらでもある。自然災害や事故、その他いろいろ……
でも人間によってもたらされる不幸が一番多い気がするんだ。
人が他人を傷つけ、不幸にする。それが、人間の不幸の中で一番多いと思う。
俺はそれが一番許せないんだ。そういうのすごくいやなんだ」
「慎一さん……」