幸せになろう
でも、直純さんが本当に全部の病気が治ったか、確認したいって言うから、もうしばらくここに所にいてもいいですか?」
「それは、別に構わないけど」

 何日かたった。
「体の具合はどうですか?」
「腹の調子も良くなった。他にもすごく良くなった。全部治ったよ」
藤村は、体が軽くなったと動かして見せた。
「直純さん、手荒なことをして申し訳ございませんでした。
でも直純さんが良くなって本当に良かったです。
私、貴方から病気が悪くなったと聞かされて、ずっと気に掛かっていました。
慎一さんに相談したら、だったら今から治しに行こうって、勧められたんです」
「慎一さんって?」
「私の今の契約者、宮原慎一さんです」
エレーナは、慎一との契約がうまくいっていることなどを話した。
「そうか。もしかして、その人に俺の病名を話したのか?」
「いいえ、話していませんよ」
「よかった」
藤村はホッとした。
「全く、おせっかいな奴だな。お前の現契約者は」
「はい。慎一さんはいい人です」

 エレーナが帰って来た。
「直純さん、すっかり良くなりました」
 彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「そうか、よかったな」
「慎一さんが私の背中を押してくれたおかげです。本当にありがとうございました」
「君は、直純さんのことをすごく気にしていたみたいだし、放っておけなかったんだ。
それに、俺はいつもエレーナに助けられてばかりだ。
だから、俺もエレーナの役に立ちたかったんだ。
天使だって幸せになるべきだと思う。
そのためなら、何時でも力になるよ。
エレーナは、俺にとって一番大切だから」
エレーナは慎一を抱きしめた。
そこには彼女の最高の微笑みがあった。
そして、再び契約の光がふたりを包み込んだ。

 天上界、イザベラ・エレガンス幹部の自室
「イザベラ幹部、エレーナの契約者が一時的に過去の契約者に戻りました」
ジェシーは、少し驚きながら状況を伝えた。
「いったい何があったのですか?」
「藤村直純は、エレーナの最初の契約者。その藤村に、契約者が一時的に変わったんです。
今は、宮原慎一に戻っていますが……」
「なぜ、今頃になって?」
突然の不可解な契約変更に、イザべラ幹部は疑問を感じた。
「宮原慎一が、意図的にエレーナの契約者を変えさせたのです。
エレーナは、かつて藤村との契約に失敗しています。



  

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