幸せになろう
そりゃそうであろう。
さやかは15歳で死んだ。その時と見た目が変わっていない。
慎一にも、さやかが夏穂の友達みたいに見えてきた。
「私とさやかさんは友達なんですよ」
エレーナは、さやかとの仲の良さを強調して見せた。
「そうなんだ」
夏穂は、さやかとすっかり仲良しになった。

 それからも、他の天使達が契約の相談に次々と訪れた。
中には、とんでもない世間知らずの新米天使もいた。
先輩天使1「私達もなかなか契約が成立しなくて困っているの
ぜひ、慎一さんの知り合いを紹介してくれないかしら」
新米天使ルーシー・ウェールズ「私にも紹介して下さい」
慎一は考え込んだ。夏穂は既に契約しているし、綾香にはサラがいる。
そこで彼は、まず天使達に夏穂と綾香を紹介。そして、夏穂達に知人を探して
もらう事にした。
天使達は、さっそく夏穂と綾香の所へ出掛けて行った。
 その日の午後の事だった。
先輩天使達が大慌てで戻ってきた。
「大変な事になったんです。ルーシー・ウェールズがいなくなったんです」
先輩天使1が血相を変えて話す。
「いったい何があったの?」慎一が事情を聞くと、
「私達は、夏穂さんや綾香さんの知り合いとそれぞれ契約が出来たの。
でもルーシーだけが契約出来なくて。
それでルーシーが夏穂さんに、どこかに契約者になれそうな人がいないか聞いたら、
大きい病院なら、不幸な患者さんがたくさんいるかもしれないって言われたの。
そしたら、私達がちょっと目を離したすきに、ルーシーがいなくなってしまって。
追いかけようとしたんだけど、既に見失っていて……
大きい病院に行ったことまでは分かったんだけど……」と、先輩天使2。
[どこの病院ですか?」エレーナが尋ねる。
「桜ヶ丘総合病院よ。天上界に戻って、ジェシーに契約管理システムで
追跡してもらったら、分かったの。
しかもそれだけじゃない。契約管理システムで調べたら、ルーシーは、
既に三十人ぐらいの患者さん達と次々に仮契約して、病気や怪我を治していることが
判明したの」先輩天使1は興奮ぎみに話す。
「何だって!」
慎一はその人数の多さに愕然とした。
「あれから時間が経過しているから、彼女の契約者はさらに増えている可能性があるわ」
先輩天使2は、ルーシーのさらなる暴走を予測。
「今すぐ桜ヶ丘総合病院に行くぞ。姉さんとエレーナも協力して」
慎一達は、桜ヶ丘総合病院へ急いだ。
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