幸せになろう
 一方その頃、桜ヶ丘総合病院では、羽の生えた若い女性が病院内を飛び回っているとか、彼女が激しい光を発生させると、患者の病気や怪我が治るとかで大騒ぎになっていた。
病棟に侵入したルーシー。
「貴方はどこが痛むのですか?」
「俺は、がんでもう長くは生きられない」
「貴方は長生きできますよ。生きたいと強く願って下さい」
ルーシーは末期がん患者とその場で仮契約。激しい光が発生して患者の願いは叶った。
「あれ? 痛みが消えた。起き上がれるぞ? 何だか急に体が楽になった」
患者は驚いて自分の体を見回した。
「よかったですね」

 次に治したのは、人工透析で血管がボロボロになり、足が腐りかけた患者。
「医者に足を切断しなければならないと言われた」
「まあ、可哀そう。でも貴方の足は腐りません。願いは叶うんですよ」
ルーシーが願いを叶え、患者の足は治った。
「あれ? 何で治っているんだ?」
診察した医師は医学的に不可解な現象に自分の目を疑った。

 さらに、別の病棟では、 
「主人は意識がありません。先生は助からないって」
患者の妻がルーシーに泣きついた。
「貴方の願い、叶えます。私と契約すれば、ご主人の意識は必ず戻りますよ」
ルーシーは、周りにいる医療スタッフを押しのけて、患者を助けた。

 彼女は満足していた。
「よかった。みんな元気になっていく。私は頑張らないと。
ん? あれは集中治療室。あそこには、重症患者がいっぱいいるはず。
みんな待っててね。私が必ず助けてあげるから」
集中治療室に入っていくルーシー。

 病院では、医師や看護師達がルーシーを探し回った。
「あの白い羽の女はどこへ行った?」
「さっきこちらの病棟にも来ました」
看護師から報告を受ける医師。
「手分けして探せ」別な医師が指示を出す。
「なんで医師達が追いかけてくるの? みんな怒っているみたいだし。
私、何も悪い事していない。患者さん達を助けただけなのに。
みんな喜んでくれているのに……」
逃げ回るルーシー。

 病院に着いた慎一達は、ルーシーを探し始めた。
慎一「ルーシーを早く捕まえないと大変な事になるぞ」
さやか「手分けして探しましょ」
「あっ、あそこにいました」
エレーナがルーシーを見つけた。
「ルーシー、帰るわよ」先輩天使1がルーシーの腕を掴んで連れ帰ろうとした。
「私はまだ帰りません」
< 89 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop