クリムゾンフレイヤ
そうなると決まれば話は早い。
「ここで仲間割れすれば、別に同行者とは見えないわよね?」
右手で剣を持ち、左手に魔力を高め、スカーレットは微笑して言った。
グラガはもちろん、町の人々までもが驚き身を隠す。
「おいおぃ。マジかよ」
「アタシに付いて来ないなら、別に剣なんて振り回さないし、魔法もブッ放さないわよ?」
錬金術で生成した風の剣を握り、片手にフラスコか?瓶っぽい物を持って対抗するグラガ。
でも、アタシだってバカじゃない。
こんな町中で魔法や剣だと振り回せば、人々の目線が痛くなるのは目に見えている。
だからアタシは最後の忠告した。
なのに……、
「イイゼ。やってやろうじゃねぇか。それで報酬が横取り出来るなら、こんないい話はねぇよ」
まさかの答えだった。
グラガの性格を知らないとは言え、まさか戦闘狂だとは……。
しかも、武器を握ってる奴はいつものやる気のない死んだ魚の目じゃなくて、本気だ。
マジだ。
(あ……れ? まさか、地雷踏んだ? アタシ)
「行くぜ!!」
顔を引きつらせて後悔したのも束の間、アタシの目の前にはグラガの風剣が頭を切ろうとしている最中だった。
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