クリムゾンフレイヤ
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「アンタねぇ?」
魔法を放つことなく膝を付いて立ち上がったアタシは、グラガを一瞥して続けた。
「……めちゃくちゃ弱いんじゃない?」
「う、るせぇ!」
多少の土煙が口の中に入ったものの、別段傷はなく、スカーレットは剣を鞘に収めた。
グラガはと言うと、町の道のど真ん中で大の字になって息を荒げている最中で……。
目の前に風の剣が現れた瞬間、咄嗟にしゃがみ込んで前転をし、背後を取らなければ負けていただろう。
しかも、背後を取られてからというもの、グラガは何も抵抗出来ずボコボコにやられて、今の有様だ。
(なーんか……期待はずれ)
顔といい戦闘スタイルといい、微妙な青年にスカーレットは溜め息をつくばかりだった。
「おぉ! なんとお強い。そなたなら、あのモンスターも退治出来ましょうぞ」
「ん? アンタは?」
突然後ろから声が聞こえ、勝手に頷く長い白髭爺さんに、スカーレットが腕を組む。
「わしはこういうもんじゃて」
と、超がつくほどの眩しい笑顔で洋風な着物の懐から出したのは、一枚の薄っぺらい紙。
それを差し出されて、黙って受け取り目を通したスカーレットは、目を細めて声に出した。
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