クリムゾンフレイヤ
「この袋の中に、約500金貨あるはずじゃ」
「ふぉひゃふひふは!?」
「汚いのぅ。ちょっと最後まで話を聞かんか」
500金貨という言葉に、口に肉を詰めたままスカーレットは驚いたが、すぐに頭を下げた。
詰め込み過ぎて、ごめんなさいと言う言葉も言えないようだ。
「この大地アルカイドには、王国から村までを脅かす敵が存在するのじゃ」
「敵? んぐっ!?」
町長の気になったキーワードを復唱して、スカーレットは喉に肉を詰まらせた。
それを丁度到着した麦酒で一気に流し込む。
「だ、大丈夫ですか?」
「あぁ、これくらい平気平気。気にしないで」
「あ、いえ……その、麦酒が切らしておりましたので──」
召使いの女性に心配されてスカーレットは首を横に振ったが、口籠もる女性に不安を抱きつつ、今飲んだものを見た。
「濃度の高いぶどう酒しかなくて……」
「あっ、ぶどう酒……ぶどう酒!?」
しかも濃度高いって!
はっきり言ってぶどう酒は飲めない口だ。
軽い濃度のものでもすぐに頭にきて、カッと熱くなってしまう。
なのに濃度の高いぶどう酒なんて飲んだら……。
「ふぃあはやぁ……」
「キャー! お客様が! 町長どう致しましょう!?」
勢いよく椅子から転げ落ち、頭を強打したアタシは、それからのことを覚えていない────。
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