クリムゾンフレイヤ
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「……んっ、んぅ」
「おっ、目が覚めたか?」
重いまぶたを開けて、頭の痛みに耐えていると、不意に聞き覚えのある声が耳に入った。
けど、アタシは……。
「……スゥ」
「寝るな!」
二度寝しようとして怒られた。
まぁ、当たり前だけど、アタシはまだ頭が痛い。
視界がグルグル回るし、吐き気だってする(この吐き気はあまり食べていないからかも)。
「とりあえず、頭痛に効く薬と簡単な食事だ。早めに治してもらわねぇと、俺帰れねぇからな」
「帰る? 何処に?」
「俺の家だよ。町長の家だ」
茶色前髪をくしゃりと潰し、グラガが溜め息をつく。
そうか、町長の家で麦酒じゃなくてぶどう酒飲んで、それから倒れて宿屋まで連れて来てもらったのか。
「あー、もう大丈夫だから先に帰っておいて」
「そう簡単に終わるなら俺もさっさと帰ってるよ。町長の……オヤジからの伝言だ」
伝言? とアタシは重い頭を持って起き上がる。
グラガはさっと身体を支えてくれ、すぐに水の入ったコップと薬を握らせてくれた。
いや、多分顔的に嫌そうだっから無理矢理手渡して来たのだろう。
そうに決まってる。
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