クリムゾンフレイヤ
って、ちょっと待って。
今何て言った?
俺の家が町長の……、
「家!?」
「うぉっ!? ビビった……何なんだよいきなり」
アタシの驚きよりも、グラガは肩を震わせて数倍驚いた。
いや、そんなに驚かなくてもいいじゃない?
「それより、アンタ。町長の家が自分の家なら、アンタは町長の息子?」
「まぁ、そうだが? なんだ? 俺の正体に気付いて驚いたか?」
アタシの問い掛けに、グラガは盆に乗せたスープを机に置いて下品に笑った。
それがまた腹立つ笑い方で……アタシは思わず空いていた足でグラガの腹を蹴った。
「いっ……!? な、何すんだよ! 痛ぇじゃねぇか!」
「そんなことはどうでもいいのよ!」
(俺はどうでもいいのかよ……)
床に膝をついてうずくまるグラガは最初怒ったが、後に呆れて様子で溜め息をついた。
彼女が知りたいのは、グラガが町長の息子とかそんなことではないのだと、分かったからだ。
「で? 町長さんの伝言板ってなに? 金貨500だから、相当の話だと思ったんだけど」
スカーレットは苦そうな包み紙に乗せられた粉薬を見ながら、グラガに話を戻させた。
自分から話を反らしたクセに……と、口が裂けても言えない青年は、ゆっくりと立ち上がって椅子を引いた。
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