クリムゾンフレイヤ

「アルカイド大地……と呼ばれるこの大陸に、今未曾の危機が迫ってる」

「未曾の危機?」


スカーレットのオウム返しに、グラガは頷いて続けた。


「この大陸を統べようと動く一人の研究者がいるんだ」


嫌々ながらも薬を口に流し込み、スカーレットは水を飲みながら話を聞く。


「その研究者は、アルカイド王国の研究長だったらしんだがぁ……まぁ、あれだ。何かの実験に失敗したらしい」


へぇ、とグラガの話に興味を持つことなく、スープに口をつける。


「その実験の失敗で、どーやら魔王さんに身体を乗っ取られたみたいで?」

「あー、魔王さんに」


グラガの面倒そうな喋り方に、スカーレットも釣られて面倒な返答になる。


「まぁ、簡潔に言えば魔王を倒して来てくれってことだ。……おまえ一人で」

「ちょっと待った。アタシ一人っておかしくない?」


グラガの説明が終わって、スカーレットはスープを一気に流し込んで制止させた。


「確か……町長さんアンタのせいでどうのとか言ってなかったっけ?」

「……チッ」


スカーレットの言葉に軽く舌打ちをするグラガ。

もちろん、地獄耳な彼女にその舌打ちが聞こえなかった訳はない。




< 25 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop