クリムゾンフレイヤ
「アルカイド大地……と呼ばれるこの大陸に、今未曾の危機が迫ってる」
「未曾の危機?」
スカーレットのオウム返しに、グラガは頷いて続けた。
「この大陸を統べようと動く一人の研究者がいるんだ」
嫌々ながらも薬を口に流し込み、スカーレットは水を飲みながら話を聞く。
「その研究者は、アルカイド王国の研究長だったらしんだがぁ……まぁ、あれだ。何かの実験に失敗したらしい」
へぇ、とグラガの話に興味を持つことなく、スープに口をつける。
「その実験の失敗で、どーやら魔王さんに身体を乗っ取られたみたいで?」
「あー、魔王さんに」
グラガの面倒そうな喋り方に、スカーレットも釣られて面倒な返答になる。
「まぁ、簡潔に言えば魔王を倒して来てくれってことだ。……おまえ一人で」
「ちょっと待った。アタシ一人っておかしくない?」
グラガの説明が終わって、スカーレットはスープを一気に流し込んで制止させた。
「確か……町長さんアンタのせいでどうのとか言ってなかったっけ?」
「……チッ」
スカーレットの言葉に軽く舌打ちをするグラガ。
もちろん、地獄耳な彼女にその舌打ちが聞こえなかった訳はない。
.