クリムゾンフレイヤ
「さっき言っただろぅ? あのまんまの通りだ」
「意地でも貫き通すつもり?」
腹を抱えながらも、アタシの問いにグラガは頷いた。
……我ながら思うけど、こんな女の何処がいいんだが。
(……呆れるわ)
まだアタシは19歳の可憐な少女よ?今からが青春なのよ?
譲歩しても、顔が良くて金持ちで優しくて強い好青年なら、アタシだって頷くわ。けど!
「……なんで死んだ魚の目をしたイケメンでもなく微妙な顔で、しかも実力もないただの金持ちと結婚しなくちゃならないのよ!」
「めちゃくちゃ言うなよ! 地味にてか、本気で傷付くわ!」
指を差して力強く言い切ったアタシに、グラガが猛烈にツッコんだ。
いや、間違えた。訂正。
……すごい顔でツッコんだ。
「一緒じゃねぇか! おまえバカか!?」
「バカとは何よ!! 言わなくても分かるだろうけど、アタシはアンタより何百倍賢い女よ!」
茶色のロングコートを叩いて、グラガは冷静に立ち上がる。
それをアタシはもう一度蹴ってやった。……が、
「調子に乗るなよ。魔王を倒さないなら、さっさとこの町から消えろ。金貸も渡せねぇ。破談だ」
蹴りを片手で受け止められて、グラガは眉をひそめた。
.