クリムゾンフレイヤ

「何の理由かは知らねぇけど、おまえは金が必要なんだろ? 魔王さんは力は絶大だが、意外と呑気って話だぜ?」

「…………」


グラガは勝ち誇ったように微笑して、アタシを見据えた。

アタシが真剣な表情で睨んでも、目を離そうとはしない。


(……そうか、こいつがアタシと結婚したいとか言う理由が分かった)


頭を冷やせば簡単なことだったんだ。

金貨500枚+魔王の居城にある財宝を、アタシが独り占めしないようにだ。

そうじゃなきゃ話がおかしい。


「……お金が必要なのは確かにそうだけど。それをみすみす独り占めさせないアンタも同意見なんじゃない?」

「…………」


アタシの言葉に、グラガが口を閉じる。

図星か……。


「8;2なら、山分けしてあげてもいいわよ?」


アタシの言葉に、蹴りを入れようとした足を降ろして、グラガは腕を組んだ。


『……と……えずは……か……』

「ん? 何か言った?」

「いや、別に」


小さく小声で呟いたグラガに対し、何かしらの不信感を抱いたが、別に気にしなかった。


「俺が冒した責任だし? それでいいぜ」

「別に付いて来ないっていう選択肢もあるけど?」

「ふざんけな」


頭を掻くグラガの頷きにアタシは笑う。

実力が無くても、踏み台や身代わりになるだろうし、“仲間”は多い方がいい。




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