クリムゾンフレイヤ

「それじゃ、話もまとまったことだし? さっさと行きますか!」

「何処に行くつもりだよ」


早速出発しようと意気込み入れたのに……。

歩きだそうとしたアタシをグラガの手に止められた。


「何処にって決まってるじゃない。町長さんの家でしょ?」

「その必要はないぞスカーレットさんや」


グラガに向き直り腰に手を当てて当たり前に言ったあと、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「オヤジ、帰るの早かったな。何してたんだよ?」

「軽い作業と、傭兵候補に会いに行っておっただけじゃ」


昨日の町長さんの荒い息をしている中、グラガは興味も無さそうに両手を後ろ頭に当てる。


「魔王討伐のために、グラガ、おまえのチームともう一チーム用意しておる。負ければもちろん金貨はなしじゃ」

「ちょっ!? もしかして前金はなしとか言う?」


町長さんの驚きな言葉に、アタシは思わず聞いてしまった。

……どんな傭兵か聞こうと思ったのに、ついお金のことを聞いちゃったのだ。


「前金はない。ただし、それ相応の金貨は用意しておろう?」


グッ、それを言われると何も言えなくなっちゃうじゃない……。




< 34 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop