クリムゾンフレイヤ
「それじゃ、話もまとまったことだし? さっさと行きますか!」
「何処に行くつもりだよ」
早速出発しようと意気込み入れたのに……。
歩きだそうとしたアタシをグラガの手に止められた。
「何処にって決まってるじゃない。町長さんの家でしょ?」
「その必要はないぞスカーレットさんや」
グラガに向き直り腰に手を当てて当たり前に言ったあと、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「オヤジ、帰るの早かったな。何してたんだよ?」
「軽い作業と、傭兵候補に会いに行っておっただけじゃ」
昨日の町長さんの荒い息をしている中、グラガは興味も無さそうに両手を後ろ頭に当てる。
「魔王討伐のために、グラガ、おまえのチームともう一チーム用意しておる。負ければもちろん金貨はなしじゃ」
「ちょっ!? もしかして前金はなしとか言う?」
町長さんの驚きな言葉に、アタシは思わず聞いてしまった。
……どんな傭兵か聞こうと思ったのに、ついお金のことを聞いちゃったのだ。
「前金はない。ただし、それ相応の金貨は用意しておろう?」
グッ、それを言われると何も言えなくなっちゃうじゃない……。
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