クリムゾンフレイヤ
「まったく……徒歩よ徒歩。城について早々に魔王さんを討伐なんて無理よアタシ」
腕を組むアタシに、グラガと町長さんは顔を合わせて溜め息をついた。
が、この顔はどうにもならないような感じだ。
「我慢しとくれよスカーレットさんや」
「……はぁ」
町長さんの答えに深く溜め息をついたアタシは、そのまま宿を出るために歩きだした。
(……っと、宿を出る前に朝食食べないとね)
今から三日掛けて歩いて行くんだから、野宿とかもありそうね……。
「町長さん。ここの宿代と朝食くらいはご馳走してくれるわよね?」
「…………宿代はもつが、朝食代までは出さ──」
「出してくれるわよね?」
「…………はぃ」
よし! アタシの気迫勝ち!
力なく首を垂れる町長さんの隣で、グラガが頭を押さえて肩を竦めてるけど、どうしてかしら?
「まぁ、いっか。さーて、朝食! ご飯と酒よ!」
周りの冒険者が白い目で見ようが、町長さんやグラガが呆れようが知ったこっちゃないわ!
アタシは気分よく階段を降りて────、
「イヤァァアッ!?」
盛大に足を踏み外して転げ落ち、尻から着地してしまった。
「……あの冒険者を選んでよかったのかのぅ」
「さぁな……」
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