クリムゾンフレイヤ
Cahptre2;新・鷹の爪

朝食を済ませ、きっちり全ての代金を立て替えてもらったスカーレットは、旅の支度を終えて町をあとにしていた。

それほど必要な荷物もなかったが、クエスト完了を伝えるのを忘れていたため、酒場に寄ったくらいだ。


(ちゃっかりクエスト報酬取られたし……)


グラガが同行していたのを、酒場の主人が見ていたせいで、報酬はしっかり分けられていた。

それを未だに根に持つスカーレットに、グラガは頭を掻いて溜め息をつく。


「まーだ怒ってるのかよ?」

「あったりまえでしょ! そんなに辛くもないクエストだったから良かったけど? これがドラゴン討伐とかだったら発狂もんよ?」

「あーハイハイ。スミマセンでした」


洞窟に巣食うモンスター退治だったクエストで、こんなに怒っているのだ。

これがドラゴン討伐クエストであれば、殺されていたんじゃないかと思うと、グラガは悪寒がした。


(俺がこの報酬を返せば丸く収まるんだろーが……)


それも何か癪に触るらしく、青年は強情にも返さないのが、またスカーレットの怒る原因だった。




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