クリムゾンフレイヤ

……が、いつまで小さなことに苛立ってるのも虚しい。

スカーレットは、町長に書いてもらった地図を頼りに道を進んでいく。


「アルカイド城までに、町二つと村を経由して行かないといけないのよね?」

「そうだっけ? あー、次の目的地は……《マルヴィ》か」


スカーレットの質問に質問で返したグラガだったが、地図を見て納得した。


水の都《マルヴィ》

食料や薬などには長けていないが、自然な大地と山から流れてくる天然水を売って町の経営をしている町。

山に囲まれているためか、少し肌寒くモンスターも多いが、ここに強力な魔術士がいるらしい。

その情報を耳にして、スカーレットはまずこの町を目指すことにしたのだ。


「強力な力を持つ魔術士ってどんな人だろ? イケメンだったらいいなぁ」

「魔術士なんだから、美人な女の方が可能性高いだろ?」


妄想を膨らませるスカーレットを水差すように、グラガがいやらしく笑みを浮かべて腕を組む。


「アンタもあの爺さんも、親子揃って変態よねぇ?」

「んだよ? 嫉妬してんのかぁ?まったく──グッ!?」


スカーレットの呆れ口調に反抗して、グラガは前髪を掻き上げて微笑したが、その表情はすぐに崩れた。




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