クリムゾンフレイヤ
いつものことだが、スカーレットが加減なしにグラガの腹を蹴ったために、何度目か……青年はうずくまる。
「おまっ……いい加減にしろよ!! 毎度毎度何か閑に触ったら蹴るクセ、今すぐ直せ!」
「えーっと、道はこっちで合ってるのかな?」
「人の話聞けよ!」
痛みをこらえて怒りを露にするグラガを無視し、スカーレットは先へ行く。
そんな自分勝手な彼女にキレながら、青年は急いで追い掛けたが、
「グホッ!?」
今度は顔面で回し蹴りを食らい、グラガは飛んだ。
「アンタねぇ……今何かしようとしたでしょ?」
「お、俺が何を……」
地図を片手に片足を上げたまま、スカーレットが息をついた。
何故蹴りを食らわせたのか分からないグラガは、もう反抗する気もなくなり、半泣き状態で尻餅をつく。
「とにかく、アタシに近づく時は構えてくることね」
仲間じゃねぇのかよ、と愚痴るグラガだったが、スカーレットの睨みに負けシュンとする。
「で? 《マルヴィ》の道はこっち? あっち?」
「こっち? あっち? じゃ分かんねぇよ。左か右か言え」
腰に手を当てて指を差すスカーレットに対し、グラガはゆっくり起き上がって服についた土埃を叩いた。
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