クリムゾンフレイヤ
その瞬間を見逃すほどバカでもない彼女は、大きく一歩前進して剣を抜刀する。
「ひっ!」
焼け焦げたリーダーの首筋に剣の刃を当て、スカーレットは悪党にも負けない悪顔で微笑した。
「アンタらのリーダー、殺されたくなかったら金品を寄越しなさい。全部よ」
「き、汚ねぇ……」
「オレら盗賊よりタチ悪いぜ」
「何か言った?」
スカーレットの言葉に歯ぎしりをしながら愚痴る男たちに、脅しを掛けて促せる。
「ももも、持ってきましたぁぁぁあ!」
「うむ。よろしい」
急ぎアジトから戻ってきた男の声が聞こえ、男たちは左右に裂けて道を開ける。
その道を走り終えた男の手には、溢れんばかりの金品財宝が積まれており、スカーレットは頷き笑った。
“盗賊狩りの盗賊”
誰が付けたかは知らないけどねぇ、アタシは悪いことなんかしてないわ。
これがアタシの生き様であり、これがアタシのやり方よ!
スカーレットの高笑いにも似た笑いが、夜の森に響き渡った。
そんな彼女を、男たちは怯えながら後退ることしか出来なかったのである。
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